2026年9月9日、荒木法律事務所(Araki International IP & Law/AIL)は、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)様 技術研究所にて、EU AI法に関するワークショップを開催しました。
今回のワークショップでは、「世界初の包括的AI規制とは?― EU AI法の全体像と知っておくべき現地動向」―と題し、当事務所代表の荒木昭子弁護士が講師を務めました。
EU AI法の全体像から、最新の規制・執行動向まで
EU AI法は、禁止AI、ハイリスクAI、透明性義務、汎用目的AI(GPAI)モデルなど、AIのリスクや性質に応じて異なる規制を設けています。また、EU域外の企業にも適用される可能性があることから、日本企業にとってもその全体像を把握し、自社への影響を検討することが重要になっています。
本ワークショップでは、まずEU AI法の全体像をもとに、リスクベースの規制体系、適用対象、域外適用、各カテゴリーに課される義務などを解説しました。
その上で、直近の法改正(AIデジタル・オムニバス) 、EUにおける執行関連の動き、公表された先端AI企業による透明性義務への対応事例など、最新の動向も取り上げました。

適合性評価・標準・通知機関についても議論
今回は、日本海事協会様が長年にわたり第三者認証・適合性評価に携わってこられた専門機関であることを踏まえ、通常のEU AI法セミナーよりも、ハイリスクAIに関する適合性評価、整合規格(harmonised standards)、通知機関(notified bodies)の役割やEU AI法上のガバナンス体制について詳しく取り上げました。
また、日本の事業者がEU AI法への対応を進める際の実務ステップや優先順位についても紹介し、ワークショップ後半の質疑応答では、参加者の皆様との活発な意見交換が行われました。

質疑応答では、日本海事協会様の専門的なご知見に基づくトピックについて問題提起をいただき、単なる法令の理解にとどまらない実務的な論点や、今後に残された課題等についても議論が発展しました。
法規制だけでは完結しないAIガバナンス
AIガバナンスを企業の実務に落とし込むためには、法規制への対応だけでなく、AI技術、標準化、適合性評価、リスクマネジメントなど、異なる専門領域を横断した取り組みが重要になります。
当事務所では、企業と専門家が実務上の課題や知見を持ち寄り、AIガバナンスの実践知を共有・蓄積する「AIガバナンス・プラットフォーム」を運営しています。特にグローバルに事業を展開する企業の皆様とともに、国内外のAI法規制への対応と、その先にある実務的なガバナンスの構築に取り組んでいます。
今回、第三者認証・適合性評価において豊富な専門性を有する日本海事協会様とEU AI法について議論する機会をいただいたことは、法務と技術・適合性評価など異なる専門性をつなぎながらAIガバナンスを考えるという、当事務所の取り組みにとっても大変貴重な機会となりました。
今後も、企業の皆様、プラットフォームメンバー、各分野の外部パートナーの皆様と連携しながら、日本企業のAI活用を支える実践的なガバナンスの構築・実装に取り組んでまいります。
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)様について
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、1899年の創立以来、海上における人命・財産の安全確保と海洋環境の保全を使命として活動する国際船級協会です。中立的な第三者の立場から船舶の安全に関する規則制定や検査、船級登録を行うほか、100カ国以上の船籍国政府から国際条約・地域規制に基づく検査・証書発行の代行権限を取得しています。現在では、長年培ってきた第三者認証の知見を生かし、品質・環境・労働安全衛生、GHG排出量、再生可能エネルギーなど幅広い分野で認証・検証サービスを展開しています。
荒木法律事務所について
荒木法律事務所は、2021年の創設以来、「世界で輝く日本の企業と人を応援する」ことを掲げ、知的財産・テクノロジー・クロスボーダー案件を中心に企業を支援してきました。
現在はAIガバナンスを重点領域とし、EU AI法をはじめとする国内外のAI法規制への対応から、AI利活用に伴うリスク評価、社内ルール・ガバナンス体制の構築、契約実務まで、企業におけるAIガバナンスの実装を支援しています。
また、企業と専門家が実務課題と知見を共有し、ともにAIガバナンスのベストプラクティスをつくる「AIガバナンス・プラットフォーム」を運営しています。
